青い夏の、わすれもの。
「こんなとこで何してる?」


背後から下駄の音が近づき、わたしの隣で鳴り止んだ。


「さつまくん...」

「なんだよ、その辛気くさい顔は?ほんと今日はずっとそんな感じなんだな」

「しょ、しょうがないじゃん。だって...」


言いかけたところで咄嗟に口をつぐんだ。

さつまくんには関係ないことだ。

自分でなんとかしなければならないことだ。

だから、誰も頼っちゃいけないんだ。

誰にも言ってはいけないんだ。

爆弾を抱えるのはわたしだけでいい。

いい、んだ...。

わたしが目を伏せて足の爪先を見つめていると、さつまくんが口を開いた。


「今日、なのか?」

「えっ?」


もしや、さつまくん...

わたしのしようとしてること、

分かってるの...?


「答え合わせ...するんだろ?」


答え合わせ、か...。

すごく前向きな表現だった。

わたしがわたしの気持ちと照らし合わせること、イコール、答え合わせ。

そして、わたしと相手との気持ちを掛け合わせて出てきた答えの答え合わせ。

うん...そうだね。


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