青い夏の、わすれもの。
マフラーを貸してもらい、寒空の下2人で一緒に掃除をした時のことを思い出した。

あの時、マフラーよりも風くんの心の方が温かかった。

その心の温かさにわたしは惹かれたんだ。

そして、向日葵の何倍も眩しくて真っ直ぐな笑顔。

その笑顔に照らされると忽ち元気になった。

その存在自体が罪だと言えるくらい、完璧なルックスと性格だった。

風くんは皆のヒーローで王子様だった。

けど、"皆の"でなくなる時はもうすぐそこまで来ている。

これからはたった1人の大切な人に

海のように広く

日溜まりのように温かで

風のように爽やかな

その心を預けてあげて。


わたしは心から風くんの幸せを願ってる。



「朝吹風くん。

わたしは、

わたしは...

あなたのことが...



好きでした」


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