青い夏の、わすれもの。
言の葉が舞った時、

わたしは涙が出ると思っていた。

だけど、わたしの瞳は乾ききっていて

涙なんてこれっぽっちも出なかった。

それに、胸に大きな穴が開くかと心配していたけど、意外にもすっきりさっぱりで爽快感しかなかった。

わたし...意外と平気じゃん。

大丈夫、じゃん。

なんだ...

失恋て

こんなもんだったのか。


想像との落差に茫然としているわたしの目の前で風くんは額に汗を浮かべながら話し出した。


「そっか...。ごめんね、全然気づいてあげられなくて」

「ううん。いいの。今まで風くんに気づいてもらう努力をしてこなかったわたしが悪いんだから。風くんは気にしないで」


そして、あっけらかんと乾いた笑い声を漏らした。

あははは...となんでこんなにも笑えるのか分からない。

自分が自分でないみたい。

まるでネジが外れたロボットみたいだ。

そして、澪ロボットはぎこちなく笑いながら、締めの言葉を口にした。


「風くんに想いを伝えられて良かった。じゃあ...深月さんと末永くお幸せに」

「あっ!ちょっと待って!」


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