青い夏の、わすれもの。
「山本に言いたいことがある」

「えっ?」


思わず顔を上げてしまった、その時。

視界の斜め左の空に、まるで光るおたまじゃくしのような物体が見えた。


――ひゅ~っ...。


あっという間に上昇していく。


――ドンッ!


弾けた。


「好きだ」


微かに声が聞こえた気がした。

"好きだ"ってわたしの耳はそう捉えた。


「好き...?」


わたしが首を傾げると、さつまくんはお得意の薄ら笑いをお目見えした。

そして、ふっとわたしの前髪に息を吹き掛けた。


「わ。な、何するの?」


わたしが慌てるとさらに口角を引き上げてクスクスと笑う。

優しかったりいじめてきたり、

ほんとに理解不能な人だ。

だけど、なんだろう。

見つめられると...

見つめると...

触れたくなる。

知りたくなる。

この胸が鳴る。

微熱が宿る。


この感覚に名前をつけるとしたら...

それはもしかして...


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