青い夏の、わすれもの。
「時間」

「へ?」


さつまくんが急に元通りに戻った。

そして、やはり私の腕をガシッと掴み、強引に引っ張りながら、前を走ってく。


「花火上がったってことは7時半!」


あ、そっか。

って、ことは...


「ヤバっ!」


わたしは下駄を脱ぎ、全身の力を足に集約させて、ただひたすらに走った。

バスの中では寝て帰ろう。

色々あったけど、寝て忘れよう。

明日考えれば良いや。

そんな後回し癖をわたしは絶つことが出来ないのだった。

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