青い夏の、わすれもの。
花火大会で勢い余って告白してしまったのは覚えているのだけれど、そこからいつどうやって家に帰って来たのかは全く記憶になかった。

気付いたら朝になってて、両親は仕事に出ていた。

あたしはテーブルに置いてあった母の置き手紙を読み、その通りに食事を取った。

実に完璧な布陣だった。

朝はサラダ、目玉焼き、トースト、牛乳。

昼はみょうがの炊き込みご飯、お浸し、鯖じゃが。

ちなみに鯖じゃがというのは、肉じゃがの変化球。

肉をサバ缶に変えてジャガイモやタマネギと共にあまじょっぱい味付けでグツグツ煮込んだ我が家の定番節約メニュー。

鯖じゃがなるものを食べている、と魁に話すと、俺にも食べさせてくれって頼まれてタッパーに入れて魁の家に持っていったこともある。

冴島家にも受け入れられたらしく、最近では月1で食べているとこの前言ってた。

といっても、6月頃の話か...。

部活があった頃は部活が中心のルーティーンだった。

そのルーティーンの中に魁も当たり前にいた。

嫌だろうとなんだろうと毎日顔を突き合わせて話をしていたというのに、部活が無くなると繋がりがぷつんと切れるものだから恐ろしい。

< 299 / 370 >

この作品をシェア

pagetop