青い夏の、わすれもの。
あたしは手帳とスマホの両方を駆使してWチェックした。

引退試合の日時は8月29日午後10時プレイボール。

相手チームは因縁の相手...ではなく、良好な関係を築いている南伊豆にある出海高校野球部。

うちとチーム全体のレベルは同じくらい。

だけど、1人1人のレベルはちょっと低め。

故に全員で勝利をつかみ取りに行く"全員野球"の姿勢が素晴らしい。

泥臭い努力も惜しまない基礎力の高いチームと言える。

それに対して、うちは能力の高い人と低めの人の差が激しい。

個々のレベルに差があるから、低い人が高い人の足を引っ張ってしまうことがままある。

高い人は低い人を的確に指摘し、根気強く教えられる指導力を求められ、低い人はその厳しい指導に耐える忍耐力を求められているチームだ。

そこを今まで引っ張って来たのが魁。

魁はセンスがあるし、教え方も上手く後輩たちはむくむくと成長した。

魁自身も練習を怠ることはなく、常にちゃんと皆の模範になっていた。

幼なじみとして誇らしかった。

それに、そんな幼なじみを好きになれた自分も見る目があると思った。

完全に自画自賛だけど、ほんとにそう思っていたんだ。


あと2週間で終わる...。

青い夏が、終わる...。

あたしはあと何をすればいいかな?

あたしにあと何が出来るかな?


あたしはベッドに仰向けに寝転がり、無機質な天井を見つめながら悶々と考えていた。

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