青い夏の、わすれもの。
今私の視線の先には目が眩むほどに眩しく、太陽に向かって自己を顕示する、生命力に満ち溢れた大輪の花が広がっている。

夏の終わりを告げる、生ぬるくも少しばかり爽やかな潮風が頬を撫でる。

呼吸をする度に磯の香りが鼻腔を刺激する。

お握りの海苔は断然パリパリ派の私は、口に入れた時に広がるあの香ばしい風味を思い出し、同時にお握りを握ってくれていた母を想起した。

この向日葵のように明るくエネルギッシュで、潮風のように味わい深かったのは母だ。

今頃は父と2人で何をしているかな？

両親にとっても私にとっても有意義な1日になるといい。

私はそう思いながら出口を探し、歩き続けた。


「あ、また行き止まりだ...」

「ほんとだ。じゃあ、さっきの所は左か。また途中からやり直しだね」

「うん...」


何度も選択を間違え、行き止まりにぶち当たってしまう。

それはまた人生においても同じことだと思う。

人生は迷路のようなもの。

幾度も選択し、間違えたらまた選択をやり直す。

やり直せない場合は立ち止まってまた考える。

壁を乗り越えて行くか、平坦な道だけど遠回りするか。

そこでもまた選択だ。

選択し、歩き続けるしかないのが人生ならば、私は無条件に受け入れる。

だって、迷い、立ち止まり、時に走り、時に転んだ先には必ずゴールがあるから。

物事には必ず終わりがあって始まりがある。

様々な道を通りながらもゴール出来たならば、新しい道が切り開ける。

始点と終点は、いつも同じ場所で私達を待っている。

私はそう思う。
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