青い夏の、わすれもの。
雨粒が傘に当たって奏でる不協和音を聞きながらバス停まで歩いた。

今日は先着で3人が屋根つきのベンチに腰かけているため、私はもう入れない。

背中に背負ったリュックが濡れないように前に背負い直した。

本当は単語帳を開いて勉強したかったけど、大事な単語帳を濡らすわけにもいかないから、仕方なくスマホで英会話を流すだけにした。

イヤホンが雑音を遮断し、英会話が流れてくる。

ただ聞き流すだけでも効果があるらしく、私は行きも帰りもこうしている。

少しは英会話聞き取れるようになったかなぁ。

TOEIC受けてみようかな。


なんてことを思いながらぼーっとしていると、イヤホンの向こうから話し声が聞こえてきた。


「お願いします!またアイス奢るから!」

「オレにアイス与えておけば何でも言うこと聞くと思ってるのか?ったく、オレも安く見られたもんだな」

「じゃ、じゃあ、今回は奮発してハーゲンダッツにする!わたし、ストロベリーが好きなんだけど、さつまくんは何味が好き?」

「だーかーら、そういうことじゃないって」


男女2人組だ。

ずいぶん仲良さそうだなぁ。

付き合ってるのかな?

誰と誰?

私の知ってる人?

2人の足音が止んだのを見計らい、興味本位でちらっと顔を真横に向けると、目があった......。

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