青い夏の、わすれもの。
私の小指に微熱を感じた。

私はハッとして隣を見ると、風くんはいつも通り、優しさに満ちていて爽やかな笑みを浮かべていたけど、どこかかき氷のシロップみたいにカラフルで甘ったるい感じもあった。

私はその微熱を追って風くんの小指にちょんっと触れた。

それが合図だった。

指と指の間に風くんの長い指が入り込み、やがて強く握られた。

私は幼稚園以来の出来事に、完熟トマトのように真っ赤になる風くんを見つめた。


「テレるね」

「うん...」


ぎこちなくて不器用。

だけど私達が描いているのは直線だ。

何があってもぶれず、脇道に逸れたりしない。

この道を、

2人で決めた道を、

たとえ茨でも、

たとえ壁にぶち当たっても、

たとえ強風に飛ばされそうになっても、

ただひたすらに真っ直ぐ歩いていく。

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