青い夏の、わすれもの。
私達が会場に到着するや否や、耳をつんざくほどに明るく高い声が聞こえた。


「お~い、お2人さ~ん!」


遠くから駆けて来たのは、元気印の爽。

今日はレモン色のブラウスにシャーベットピンクのスカートという爽やかでありながらもかなり攻めているスタイルだ。

これが上級者コーデなのかもしれないけど、この眩しい色が似合うのはきっと爽だからだ。

爽の気質と暖色はうまく混じり合い、正の化学反応を起こすんだ。

爆発なんて起きない。

ひたすらに美しい炎色反応だ。


「2人共久しぶり。魁くんは昨日引退試合だったんだよね?お疲れ様」


風くんが冴島くんに労いの言葉をかけると、冴島くんは鼻の下をこすって照れ臭そうに笑った。


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