青い夏の、わすれもの。
私はリュックを前に抱えたままステップに足をかけた。

すると、予期せずバランスを崩して、後ろにつんのめってしまった。


「うわっ」

「おっと。大丈夫ですか?」


私は律くんの胸に背面から飛び込んでしまった。

鼓動が早くなるのが分かる。

バクバクが止まらない。

病院にあるあの機械で見たら、波が大きく跳ね上がって途中からエラーになりそう。

もう、私ったら、何してるんだろう。

こんなドジ起こして迷惑かけて1人でドキドキしちゃって...。

私が私じゃないみたいだ。


「さつまくん、ナイス。あの、大丈夫ですか?」


私は話すことが出来ず、仕方なく激しく首を上下させた。


「なら、良かったです」


その声が胸の深淵で反響した。

優しくて暖かいその声に救いを覚えた。
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