青い夏の、わすれもの。
花壇の花とこちらの華を交互に見ながら昇降口へ向かっていく。

恐らくそこで2人は合流するから、今のうちに聞きたいことは聞いておこう、


「そういえば華ちゃんは大学どうするの?」


私が聞くと、華ちゃんは凛とした表情になった。


「私は東京にある女子大の英文科の推薦もらって9月末に受験するんだ」

「やっぱりすごいね。さすが生徒会副会長」


わたしが心からの誉め言葉をかけると、華ちゃんは探るような眼差しでこちらを見つめて来た。

わたしは今度は自分の番だと察して口を切った。


「わたしはね...律と同じとこ受けるんだ。お互い行けるところまで行こうってことで、今日から毎日放課後は図書室で勉強する」

「えっ!いいなぁ!すごくいい。ザ青春って感じで羨ましい!」


華ちゃんには羨ましがられたけど、不純な動機だし、あまり表立って言えることではない。

それでも、目標が出来たことでやる気が出てきたってことで若干プラスに捉えられてはいるけど、先生には絶対言えないな。


「お互いに色々大変だと思うけど、頑張ろうね」


華ちゃんの女神のような微笑みは癒しだ。

毎日これを独り占め出来る風くんは幸せ者だな。


「うん、頑張ろう」


わたしたちは互いに鼓舞し合った。

笑みを溢し顔を上げると、やはり彼はいた。

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