青い夏の、わすれもの。
山本さんの表情からはパステルピンク色のオーラとか、愛を象徴する情熱の赤のオーラなどは微塵も感じ取れなかった。

その代わり、山本さんは本当に律くんを尊敬、信頼しているということが伝わってきた。

私はそれを見てほっと胸を撫で下ろした。

山本さんと律くんが恋人関係じゃなくて良かった...。

これでもし山本さんが"私律くんのカノジョなの~"って名乗ったら、バスの中で心停止して昇天していたかもしれない。

首の皮1枚で命拾いした。

よし、ここからは色々と律くんについて聞き出そう。

私は意気揚々と質問を始めた。


「律くんは力量があると先ほど言っていましたけど、いつからトランペットを吹いているか分かりますか?」

「たしか、5歳からって言っていたと思います。お父様が中高の音楽教師らしいです」


へ~、そうなんだ...。

音楽教師ってなんか独特な感じだけど、家の中はクラシックだったりJポップだったり、1日中音楽が流れてるのかな?

なんだか、愉快で楽しそう。

想像するだけで胸がぴょんぴょん飛び跳ねる。

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