青い夏の、わすれもの。
――パーーーー...。


私の耳を大好きな音が貫いた。

トランペットの真っ直ぐな音が私の心臓のど真ん中を射る。

そうだ...

そうだよ。

私が好きなのは...

この音。

そして、この音を響かせ、私の胸に留めてくれる彼だ。

律くんだけだ。


私の手の震えは瞬く間に止まった。

私は下駄箱の上段に入っていた上履きに手をかけた。


「昨日は本当にありがとう。私ちょっと生徒会の仕事があるから、先に行くね」

「あ、うん...」


私は朝吹くんの笑顔を振り切り、生徒会室まで駆けた。

この時間は誰もいない。

1人で彼の演奏に浸っていられる。

私は直ぐ様窓を全開にし、窓際にパイプイスを置いてそこに腰をかけた。


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