青い夏の、わすれもの。
――パーンパパパパーン。パッパッパパーン...。

――ブォーンブォブォブォブォーン。ブォブォブォブォーン...。


トランペットとトロンボーンの音...。

胸がちくりと痛む。

山本さんには悪いけど...邪魔しないでほしいな。

私の胸を突き動かすあの音色だけを聞いていたい。

私はトロンボーンの音を遮断し、トランペットの音に集中した。

瞳を閉じると目の前に草原が見える。

青々と草木が生い茂る中、律くんが青空に浮かぶ太陽に向かって黄金のラッパを構えて音を奏でる。

その音はどんな音よりも心地よく、私の胸にすっと入り込み、溶けていく。

音は形を変え、愛しさに変わり、全身を巡る。

愛しさに満たされたその時、私は幸福感に酔う。

音に恋をし、

彼を愛しく想うこの心は本物。

私今...恋してる。

こんなにも強く深く恋してる。

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