青い夏の、わすれもの。
そんな衝撃的な始まりの恋だったけど、私と彼は同じクラスになることはなく、生徒会と吹奏楽部では接点もまるでなく、進展することはなかった。

でも、もう私も彼も3年生。

高校生活最後の年なんだ。

ここで何も起こさなければ何も始まらない。

ずっと私が一方的に好きなだけ。

片想いのまま、お別れになってしまう。

そんなの...ダメだ。

恋なんて今までしたことがなくて、どうしたら良いのかさっぱり分からない。

分からないけど、でも相談出来るような親しい友人もいない。

だから、自分でなんとかするしかないんだ。

私自身がこの運命を信じて

赤い糸を手繰り寄せて

奇跡を起こさなければならないんだ。


そう思った私はある決断をした。

吹奏楽コンクールの日に直接律くんに花束を私に行く。

想いを伝えなくてもいい。

そこを始点にして、そこから徐々に距離を詰めていけばいい。

そう思った。

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