青い夏の、わすれもの。
でも、そのお陰で迷わずに練習室まで来られた。
手ぶらなのに堂々とノックをし、我先に入っていく永瀬さんを見ながら、かなり肝が据わってる人だなぁと感心してしまった。
「澪っ!」
「爽!どうしてここにいるの?」
「はっはっは!それはもちろん澪の応援のためだよ」
異様にテンションが高い永瀬さん。
さすがの山本さんも顔がひきつっている。
私が山本さんに視線を向けたまま数秒経つと、山本さんが私に気付いた。
「深月さん、こんにちは」
私はぺこりとお辞儀をし、距離を縮めた。
「その花束素敵ですね。誰に渡すんですか?」
「えっと、それは...」
見つけてはいるけど、視線を泳がせる。
迷ってる風を装うのもおかしいけど、即答するのも恥ずかしかった。
私がなかなか言わずにいると、永瀬さんが口を開いた。
「トランペットの子じゃないの?あれ?澪、この前なんて言ったっけ?」
「あ~、そっか。さつまくんだね」
「えっ?さつま?」
「正式名称は大楽律くん」
「そうそう。大楽律。で、その彼はどこ?」
「さつまくんなら、今ここにはいない。楽器冷えると嫌だからってわざわざ暑い廊下にいって暖めている」
永瀬さんが私に視線を流す。
「だってさ」
1人で行けってことなのだろう。
うん、そうだ。
ここまで連れて来てもらえたのだから、ここからは1人で頑張らなければ。
私は覚悟を決めて花束を抱える腕に力を込めた。
「じゃあ、私行きますね。山本さん、演奏頑張って下さい」
「はい。金賞目指してがんばります」
山本さんの眩しすぎる笑顔を背に私は歩きだした。
手ぶらなのに堂々とノックをし、我先に入っていく永瀬さんを見ながら、かなり肝が据わってる人だなぁと感心してしまった。
「澪っ!」
「爽!どうしてここにいるの?」
「はっはっは!それはもちろん澪の応援のためだよ」
異様にテンションが高い永瀬さん。
さすがの山本さんも顔がひきつっている。
私が山本さんに視線を向けたまま数秒経つと、山本さんが私に気付いた。
「深月さん、こんにちは」
私はぺこりとお辞儀をし、距離を縮めた。
「その花束素敵ですね。誰に渡すんですか?」
「えっと、それは...」
見つけてはいるけど、視線を泳がせる。
迷ってる風を装うのもおかしいけど、即答するのも恥ずかしかった。
私がなかなか言わずにいると、永瀬さんが口を開いた。
「トランペットの子じゃないの?あれ?澪、この前なんて言ったっけ?」
「あ~、そっか。さつまくんだね」
「えっ?さつま?」
「正式名称は大楽律くん」
「そうそう。大楽律。で、その彼はどこ?」
「さつまくんなら、今ここにはいない。楽器冷えると嫌だからってわざわざ暑い廊下にいって暖めている」
永瀬さんが私に視線を流す。
「だってさ」
1人で行けってことなのだろう。
うん、そうだ。
ここまで連れて来てもらえたのだから、ここからは1人で頑張らなければ。
私は覚悟を決めて花束を抱える腕に力を込めた。
「じゃあ、私行きますね。山本さん、演奏頑張って下さい」
「はい。金賞目指してがんばります」
山本さんの眩しすぎる笑顔を背に私は歩きだした。