青い夏の、わすれもの。
「ずっと言いたかったことがあって...」

「何?」


名残惜しいのか、泥だらけのユニフォーム姿のままの魁。

その目の前にいるのは...

あたしの親友...。

if...のはずがrealになった。

こういう時なぜ英語が出てくるのか、あたしには分からない。

極限に追い込まれると脳が覚醒するのだろうか。

なんてことはどうでもいい。

今は話を聞いてなきゃ。

一言一句聞き逃せない。


「本当は優勝したら言おうって思ってたんだけど...」

「準優勝もすごいと思うよ。優勝出来なかったのは、こっちの応援が足りなかったから。ごめんね」


あたしの親友...澪が申し訳なさそうにはにかむ。

この場面でこんな言動が出来るのは、今から何が起こるか全く予想出来ていないから。

鈍感...だからだよ。

でも、そういうとこが、男子には...魁には...可愛く見えるんだろうな。


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