愛される何でも屋と両想いになれる確率
どこかくたびれたスーツを着て、ただひたすら目の前に積まれた資料を読み、報告書を作成していく。辛い。眠い。もう今日で四徹目だ。

パソコンをいじりながらで申し訳ないが、自己紹介をさせてもらう。俺の名前はレイ・オーランド。アメリカ人だ。ブラック企業に勤める社員のような働き方をしているが、職業は普通の会社員ではない。

「レイ、ちょっといいか?」

パソコンと向き合っていると、上司に声をかけられる。死んだ顔で振り向けば、「この話が終わったらもう帰れ」と言ってくれた。助かる。

俺は、インターポールという組織に所属している。インターポールとは国際警察のこと。国際的な犯罪を防ぐために俺たちがいる。

幼い頃、映画を見てインターポールの存在を知り、それから必死に勉強して組織の一員になれたのだが、ここまで大変だとはあの頃は想像もしていなかったな……。

「あの、話とは?」

眠い目を擦り、俺が訊ねると上司が真剣な表情で口を開く。
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