愛される何でも屋と両想いになれる確率
「レオさん、今日はよろしくお願いします」

列車のドアが開くのを待っていると、ビオラさんに話しかけられる。乗客として列車に乗るビオラさんを見た時、この腕の中に閉じ込めてしまいたいと思った。

いつもはスーツを着ていたビオラさんは、今日はお金持ちの乗客という設定なのか、ブローチのついた青いワンピースドレスを着ている。本物のお嬢様みたいだ。

ビオラさんのことを、乗客として潜入する捜査官、マルコたち、そして何も知らない一般の乗客たちが熱を持った目で見つめている。本人は何も気にしていないようだが、そんな格好を見るのは俺一人だけでいい。

「あの、お名前を教えていただけませんか?よろしければエスコートをさせてください」

いかにもおぼっちゃまというブランド物のスーツを身に付けた男性がビオラさんに声をかけると、他の男性陣が一斉に「いや、私がエスコート致します」とビオラさんに話しかける。女神に気安く話しかけるんじゃない!

イライラして止めたくなるが、犯罪者を捕まえるためにここに来ている。勝手なことは許されない。
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