愛される何でも屋と両想いになれる確率
動けない自分にも苛立っていると、ビオラさんの父親という設定でスーツを着たアンドレさんが「娘に何か用か?」とビオラさんを背後に素早く隠して男どもを睨み付ける。

アンドレさんは強面だからな。男どもは全員ビビって逃げて行った。ザマァ!

「ふぅ……。今日はよろしく頼むぞ」

アンドレさんに肩を叩かれ、俺は「はい!お願いします!」としっかりと頷く。誰一人傷付けることなく犯罪者たちを捕まえなくてはならない!

列車のドアが開き、チケットを持っている人たちが列を作って車両に入っていく。俺とビオラさん、そしてアンドレさんは前から三番目の車両に入る。マルコたちとは離れた。ラッキー!

柔らかい座席に腰掛けると、ビオラさんとアンドレさんも座るところだった。ビオラさんは本物のお嬢様に完全になり切っていて、動作一つ一つが美しい。誰も彼女が強いだなんて思わないだろう。

(ビオラさんの服、かなり動きにくそうだし犯人確保の時には俺が守らないとな……)

そこでビオラさんが振り向いてくれたら、なんて妄想をしているうちに列車はゆっくりと動き出したのだ。
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