愛される何でも屋と両想いになれる確率
こっちに来い、と男はビオラさんの腕を掴んで自分の方へ引き寄せる。汚い手でビオラさんに触れるなんて……!

「その人を離してください!」

咄嗟にそう言い、立ち上がっていた。しかし男に銃を向けられ、「死にてぇのか!?」と脅されてしまう。

俺や捜査官たちは銃を隠し持っている。でも、それを取り出せば間違いなく銃撃戦に発展するだろう。負傷者が出ることは避けなければならない。

「私は大丈夫ですので」

ビオラさんが男に捕らえられながらも天使のように微笑み、言った。僕は男に殺意を覚えながら再び座る。

「それにしてもいい体してんだな。嬢ちゃん、名前何て言うんだ?」

男はビオラさんの体を触り、下卑た笑みを浮かべている。この状況に乗客たちは気まずそうな、ビオラを心配するような目を向けていた。俺だってビオラさんが心配だ。しかし、本人は堂々としていて怖がる素振りを見せない。強がってるのか?

「お褒めいただき、光栄です。私の名前はジベットと言います」

コードネームの方をビオラさんは言った。しかし、その意味を知らない男は「ジベットちゃんか〜」と体を触る手を止めない。
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