この度、生意気御曹司の秘書になりました。

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「ねぇ、雪…秘書になるってホント?」


自分のデスクを片付けている最中、隣のデスクで仕事をしている赤塚 怜美(アカツカ レミ)にそう声をかけられた。


「うん、そうなの…。本当はここにいたいんだけど社長の勢いに飲まれてさ…つい…」

「へぇ…」


そんな私を意味ありげに見る怜美は、でもさ…と唇にボールペンを当てながら言葉を続ける。


「よかったじゃん、御曹司の秘書でしょ?ひょっとしたら玉の輿だよね。しかも、めちゃくちゃイケメンだって噂だし」

「え、そうなの?」

「あ〜でも、雪はそういうの興味無いよね〜?あんたなんかには勿体ない営業部のエリート持田さんが彼氏だしさぁ」

「ま、まぁね」


なんだかトゲのある言い方ではあるものの、人から〝持田さんの彼女〟なんて言われると、未だになんだか照れてしまう。


「ニヤニヤしちゃって…腹立つわぁ〜」


そんな私を怜美は呆れた様子であしらった後、「まぁ、がんば〜」とヒラヒラと手のひらを私に向けて動かした。


慣れてきつつあったこの憧れの部署からもう離れないといけないのは本当に辛いけれど、頑張らないと。


私は怜美にありがとねと言った後、他の職員の方たちにも頭を下げ、総務部を後にした。

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