この度、生意気御曹司の秘書になりました。
私より頭3個分ほど高い彼をキツく睨みつけながらそう言い放った矢先、掴んでいた手を思い切り振り払われる。
そして彼は私に何の悪びれもなく、再び背を向けて歩き始めた。
「ちょっと待って……!」
腹立つ背中にそう言葉を掛けて呼び止めようとするも、彼が足を止める事はなかった。
「最低男…」
小さくなっていく背中を睨みつけながら、私は握り締めた拳に力を込めた。
そんな荒んだ気持ちの中、私は急いで散らばった資料を拾いまとめ、社長室へと急いだのだった。