秘密に恋して～国民的スターから求愛されています～
ただ彼はとても頑固だ。それは小さなころから一緒の私だからこそよく知っている。
仕方がなくそれを受け取るとようやく顔を綻ばせる。

普段なら、一緒にゴロゴロしたり…テレビを見たり。気兼ねなく隣にいることが出来ていた。しかし今はどうだろう。
彼が隣に座るだけで”意識”してしまっている。

また押し倒されたりしないだろうか、とか。もう昔のような関係には戻れないのかなとか。様々なことが頭に浮かんで混乱する。

「あ、そうだ」
「どうしたの」

拓海が思い出したように顔を上げた。
私に体と顔を向けるといった。

「ドラマの台本手伝ってくれない？」
「え？何？」

言葉足らずなそれを必死に脳内で再生する。
手伝う？台本？首を傾げて私は彼の顔を覗き込む。

「セリフ合わせ手伝って欲しいなって。忙しくてセリフ覚える時間ないからさ。相手役のセリフいってくれるだけでいいんだけど」
「あぁ、そういうことね。いいよ」

私の返答に拓海は笑って頷いた。
確かにいつ拓海ってセリフを覚えているのだろうか。送迎車の中とかだろうか。でも元々彼は頭がいいはずだからすぐに覚えそうなものだけど…。

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