秘密に恋して~国民的スターから求愛されています~
なんの根拠もない発言なのはアンナさんもだけど私も同様だ。

負けじと彼女の目を睨み返すが、余裕そうなアンナさんはクスクス笑って長い髪を耳にかける。
しぐさの一つ一つが周りを魅了させる、それは画面越しよりも実際に会った方がそう感じさせる。

「芸能人と一般人、無理な話よ」
「何がですか?」
「だからね。彼のことを思うなら別れてあげたら?ストーカーだって、あなたの存在を知らなかったらここまでしなかった。今の彼は迷いがある。活動を続けていいのか迷いながら撮影してもいい作品は生まれない」
「…」
「わかるでしょう?邪魔者は、」


―あなたなの



そう言って、アンナさんは立ち上がった。

そして、そのまま踵を返して病室のドアをスライドさせ出ていった。
マサトさんだけでなく、アンナさんも私に会いに来た。
仕事の途中なのかわからないけどそうまでして伝えたかったのだろう。



”邪魔者は、あなたなの”

何度も脳内で再生されて、忘れたいのに離れてくれない。
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