秘密に恋して~国民的スターから求愛されています~
沙月の様子がおかしいのは当たり前と言えばそうかもしれない。
あんなことがあったのだから、家を出るのも怖くなるだろうし仕事などに集中できないのも当たり前だ。

でも、それだけではないような違和感があった。

『マサト以外に誰か来た?』

病室のテーブルに紙袋があって中を覗くとケーキがあった。
誰かがお見舞いに来たのだと推測したが彼女が口を割ろうとしないことに胸がざわつく。
仕事を抜けてきてしまった俺はそのあと少しだけ沙月と話して病室を出た。
本当はもっと沙月の傍にいたいのに、今の仕事をしていたらそれが出来ない。
もどかしさと焦燥感でどうにかなりそうだった。

あの事件から一週間が経った。
彼女は益々ふさぎ込むようになったし外出もしたがらない。
それだけじゃない。なんとなく俺を避けている気がした。

俺の家で俺の帰りを待ってくれていることが少なくなっていて今日も俺の家には来ていないようですぐに沙月の家に合鍵で入る。

「沙月?」

玄関ホールの明かりが自動で視界を明るくしてくれて靴を脱ぎ大股でリビングへ向かう。
リビングは電気がついているが彼女の姿がなかった。
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