秘密に恋して~国民的スターから求愛されています~
だからどちらかを選ぶなら私は事務所を選ぶべきだと思った。
たとえそれが、事務所の思うつぼだとしても。

許せないのはマサトさんだ。
助けてもらったことは感謝している。それでも彼の考えは到底許されるものではない。

だから私が拓海と別れて関係ない一般人になる。
そうしたらあれをばら撒かれても拓海には迷惑はかからない。最悪、マサトさんの彼女ということでもいい。
それしかない。

携帯がメッセージを伝える音を出す。
私は疲れたように息を吐いてそれをベッドのサイドテーブルから取る。

二件入っていた。

一つはマサトさんからだ。

”明日、夜20時俺の家にきて”

簡素なメールだった。私は一言わかりましたとだけ返した。
ちょうどいい、明日会った時彼に伝えよう。消してくれるよう頼むけど最悪別にどうだっていい。
私はマサトさんの拓海を芸能界から追い出したい不純な理由が大っ嫌いでそれに従うことだけは嫌だ。

拓海には絶対に続けてもらいたい。マサトさんのような人間のせいで…彼の才能を潰したくない。

もう一件は拓海からだった。

”俺は認めないよ。絶対に”

その文字を見て息が詰まりそうになった。
どうして彼はこんなにも真っ直ぐなのだろう。濁りのない目で私を捉えて離さない。

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