秘密に恋して~国民的スターから求愛されています~
マサトさんの家の前に立ち、深呼吸をした。
ゆっくりインターホンを押すとすぐにドアが開き彼が顔を出した。

「あがれよ」
「玄関でいいです」
「いいじゃん、せっかくだし」

そう言って無理やり私をリビングへ移動させる。
親しくない男性の家に上がることなどまずないから緊張する。

ソファへ座るように促されて、思った以上に物がある家に驚きつつ深いグリーンのソファに腰かけた。
向かい合うようにして彼も座った。

「あ、なんか飲む?」
「いえ、大丈夫です。すぐに帰るので」
「いいよ、今コーヒーでも入れるから」

そう言ってまた立ち上がるマサトさんを黒目で追いながらもパーカーのポケットに手を入れた。
そこには、用意していたボイスレコーダーがある。
彼に気づかれないようにそれの録音ボタンを押した。

マサトさんのイメージだと黒とかそういった暗い色で統一されているのかと思いきやそうでもなくて
リビングは全体的に緑色の家具が多くてカーテンは黄緑色だからなのか明るい印象を持った。

「どーぞ」

そう言って私の前にコーヒーカップを置く。
一応お礼を言って頭を下げると同時にマサトさんがぐっと私の顎を掬った。

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