秘密に恋して~国民的スターから求愛されています~
インターホンは間隔をあけて何度も鳴った。
マサトさんは舌打ちをして私から離れる。
そのすきに逃げようかとも思ったけど玄関を通らなければいけないし現実的ではない。

マサトさんはインターホン画面で誰が来たのかを確認すると小さな声で「拓海…?」と声を出した。

拓海の名前に心臓が大きく跳ね上がる。
どういうわけだろう、どういうことだろう。

たまたまマサトさんに用があったのだろうか。玄関ホールからマサトさんの声が聞こえた。

と、すぐに拓海の声も聞こえる。何か揉めているようだった。

今すぐにでも彼に会いに行きたい。なのに体は動かないし、動いてはいけない。このまま彼から離れることが一番いいのだから。

と、マサトさんの叫ぶような声が聞こえる。

そしてリビングのドアが勢いよく開いて

「拓海…?」

目の前に拓海が現れた。見たこともないほどの怒った表情で私を捉えるとすぐに駆け寄って

「沙月っ…」

ぎゅうっと強く強く抱きしめられた。
突然の出来事に困惑している私に彼はとても強い力で抱きしめる。

「沙月、よかった」
「なんで…」

私を呼ぶ声は少し震えていて、心配してくれていることが伝わった。


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