秘密に恋して~国民的スターから求愛されています~
すぐにマサトさんがリビングに入ってくる。
マサトさんの頬は少し腫れていて、拓海が殴ったのかもしれないと思った。

「何人の家に入ってきてんだよ」
「沙月に何しようとしてんの?」
「何って、男女の関係に口挟むなよ、別れたんだろお前ら」
「別れてない。俺が別れる選択をすると思う?」
「…は?」

拓海はそう言って、私を離すとマサトさんに近づく。

「ふざけんなよ、沙月を利用して何しようとしてるか知らないけど、沙月に手を出すならどんなことしてでもお前をつぶす」

聞いたこともないほどに低い声でそういうと、すっと私の手を取り

「行こう、沙月」
「た、くみ…」
「もう泣かなくていいよ」

そう言って悔しそうに顔を歪めるマサトさんの横を通り過ぎる。
苦し紛れに「あの写真、拓海は知らないだろ」と私たちの背中に向けて言うが、拓海は無視をして私の手を引く。

彼の手は温かくて、私を包み込んでくれてそれだけでまた目頭が熱くなる。すぐ隣の拓海の家にいき、リビングに入るとすぐに私をソファに座らせて

「とりあえず説明して」

静かにそう言った。

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