秘密に恋して~国民的スターから求愛されています~
「やっぱり、会いたくて…、」
たどたどしい言葉を必死に紡いでいく。
拓海の顔を見るといつのも彼ではないような気がした。無気力男子っていうイメージが強かったのに、目の前の彼は違った。
あぁ。演技しているのだと理解した。
一瞬で役になりきる、それを間近で見て鳥肌が立った。
「俺も会いたかった。忘れられない」
「…わ、私も―…っ」
台本にベッドに2人で倒れ込む、などの細かい描写が書かれてある。
だから仕方がない、それはそうなんだけど。
「た、くみ…―」
「そんなセリフ、ないよ」
体がベッドに沈むと同時に私の手からは台本が滑り落ちて、目の前には天井と彼の顔がある。
心臓が音を立て激しく動く。
拓海の手が私の体を撫でる。
ひぃ、と女らしくない声が出て体が固まる。