秘密に恋して~国民的スターから求愛されています~
「こんなにはしゃぐの何年振りだろう」

一休みしようとシートの上で飲み物を飲む。
エメラルドグリーンに輝く海を眺めながらそう呟くように言うと隣に座る拓海が頷いた。

「今のところばれてないね?」
「そうだね。案外人混みとかだとバレないのかも。みんな海で遊ぶのに夢中だし」

よかった、と胸を撫でおろし、「じゃあまた海で遊んでくるー!後でかき氷食べよう」と彼に言い残してまた海に向かって歩きだす。

14時過ぎになると更に気温が上がってこまめに水分補給をした。

「あれ?」

拓海のいるであろう場所に彼の姿がなくて辺りを見渡した。

すると、

「たく、み…―」

彼を見つけたが、彼を囲むような人だかりに無意識に足を止めていた。

「ねぇ、あれ拓海じゃない?」
「嘘、本当?」
「だってほら―…」

その人の群れが徐々に大きくなってきて、どうしようと一気に青ざめた。
想定できなかったわけじゃない。
でも、もしバレたらどうするのが正解なのかわからなかった。

固まる私をよそに黄色い声が大きくなる。

< 178 / 215 >

この作品をシェア

pagetop