秘密に恋して~国民的スターから求愛されています~
甘い、甘い、甘すぎる!
何だろう…この空間は。ドラマの中の彼もそうなのだろうか。
きっとそうだ。でも、目の前の彼は私の知る拓海で、これも演技なのかどうなのかわからなくなる。

ごくり、唾を飲んだ。

緊張して喉の奥までカラカラだ。

「今まで俺がどれだけ我慢してきたか、聞いてくれる?」
「…へ?」
「夏は暑いからって短パンにTシャツ、それ沙月は普通って思ってるけど俺からすると地獄」
「…あ、うん?」

了承もなにもしていないのに、彼は続ける。

「普通に抱き着いたり俺のひざの上で寝たり。それも拷問に近い。つまり、俺は今までずっと我慢してきたんだよ、わかる?」
「…はい」

こんな至近距離でそんな話しないでよ。力強い目の奥を見ていると、本当に拓海は”男”だと認識せざるを得ない。
しかもこの押し倒されている状況下では尚更だ。
今までの関係は彼が私を想って”演技”してくれていたのではないか。
そう思った途端、申し訳ないという気持ちが溢れてくる。
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