秘密に恋して~国民的スターから求愛されています~
―試写会当日

映画にドラマに舞台にも引っ張りだこの彼は今やテレビやネットで見かけない日はない。
事務所の稼ぎ頭とまで言われている拓海がどのように事務所とお互いの妥協点を見つけたのかまだ知らずにいた。

今朝、出かける際に『心配しないで』と言い残して家を出た。

何を聞いてもはぐらかされるだけで明確な答えは返ってこない。

今日は有休を貰っていて忙しい夏に休むのは気が引けたけど今日仕事に行っても集中できないと思った。


「試写会、終わったかなぁ」

彼を待ちながらソワソワと携帯電話を握りしめていた。
終わったら連絡すると言われていたから、ひたすら彼の連絡を待った。

気づくと昼寝をしてしまっていたようで、ソファの上で目を覚ました。

時間を確認すると16時過ぎで寝すぎた自分にうんざりしつつテレビをつけてみた。

すると…―。

”俳優の拓海が電撃結婚へ”

画面の上に大きく表示されているのを見て私は固まった。

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