秘密に恋して~国民的スターから求愛されています~
「一度目は玉砕したけど…」
そう言って目の前に差し出されたのは、見覚えのある濃紺のリングケース。
目頭が熱くなるのを必死に堪えながら小さく頷いた。
「ずっと沙月のことが好きだった。俺と結婚してくれますか?」
「…もちろん。よろしくお願いします」
堪えきれなくなった涙が頬を伝って落ちていく。
言葉では言い表せないほどに綺麗に輝くそれに目を奪われる。
「沙月のこれからを、未来をちょうだい」
「ふふ、いいよ」
「やった。ほかの男に取られないようにしないと」
そう言って、彼がゆっくりとリングケースから指輪を取り出し、私の手を取る。薬指に丁寧に通される指輪をじっと見つめる。
「とても似合ってる」
「ありがとう」
「これからは堂々とデート、できるね」
そう言った彼の瞳も潤んでいた。
私が彼を好きになったのは数か月という短い期間だけど、彼は違う。
ずっとずっと昔から私を想っていてくれていた。
だから、今度は私の番だね。
ずっとずっとあなたの隣で、あなたを好きでいる。
「沙月、大好きだよ」
秘密に恋して END