秘密に恋して~国民的スターから求愛されています~
結局その日のデートは沙月の強い希望によりすぐに帰宅することになってしまった。
彼女なりに気を遣っているのだろうし、公にしているといっても芸能人との付き合いは一般とは異なることを俺よりも理解しているのかもしれない。


しかし、車内での彼女は普通とは違ってご機嫌だった。

運転中も助手席でニコニコと笑っていて帰り際に買ったソフトクリームを口に含み、鼻歌を歌っている。

「すごいご機嫌だね。デート帰ってくることになったのに」
「また行けばいいし、大丈夫だよ。それよりも嬉しかったの」
「嬉しい?」


ちょうど赤信号になって車を停止させる。
横目で彼女を捉えると、彼女の頬は少しばかり赤みを帯びていた。

「彼女だって言ってくれて」
「え?そんなことで?だって沙月は彼女でしょ?」
「そんなことって。拓海は一般の人じゃないんだからね!だからこそそういうのが嬉しかったの」

なんだ、そんなことか。
だったら、いくらでもいうよ。俺にとっては当たり前のことだったからね。

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