秘密に恋して~国民的スターから求愛されています~
今日はお休みだからのんびり昼食を食べて、夕飯の買い物でも行こうかと準備をした。

軽めに化粧をして、Tシャツにチノパンというラフな服装で家を出る。
思いのほか日光が強くて空を見上げて顔を歪めた。

マンションを出てすぐに誰かに肩を叩かれる。
後ろを振り返るとそこには見知らぬ女性が立っていた。すぐに以前のストーカー事件を思い出して後ずさりをする。

彼女は私と同じくらいの年齢の至って普通の女性に見えた。しかしあのストーカーの女性も見た目は普通のどこにでもいるような女性だった。

「…な、何か…」
「急にすみません。私、拓海君の…元カノです」
「へ、」

強張っていた顔がそのワードに徐々に変化していく。
どういうことだろう。だって拓海は、付き合ったことはないと言っていた。
それが嘘だったということ?

彼女のこげ茶色のセミロング髪は艶やかで、服装も清楚という言葉がぴったりのチュールスカートに白いブラウスを着ていた。
そんな彼女は控え目な視線を私に送り続ける。



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