秘密に恋して～国民的スターから求愛されています～

「…何してるの？」
「ん？別に何も」

彼はそう言って椅子から腰を上げるとそのまま私に近づき浮かない顔をする私を覗き込む。

「どうかした？」
「ううん…何も！」

いつ切り出そうか、今？でも、今日も朝早く家を出たのを知っているし拓海の疲労を考えると別日にした方がいいのだろうか。
ただ、少し拓海の行動にも気になることがある。

今、何をしていたのだろう。
私が近づくとパソコンを閉じる彼は何をしているのだろう？

気になるなぁ、と思いつつもまずは今日会った沙也さんのことを伝えなければならない。

「沙月、今日元気ないみたいだけどどうしたの」
「そんなことないけど…拓海って彼女、いたの？」
「え？」

拓海の顔色が変化していくのを見逃さない。
ぴくり、私の眉が動いた。

「前につき合ったことなかったって言ってたけど…」
「うん。付き合った人はいないけど」
「…」

やはりあの沙也さんの主張とは食い違いがあるようだ。
認識の違いなのだろうか。ただ大学時代も高校時代も彼はよくモテていて気にしたことはなかったがそれなりに女の子と一緒にいるのを見たことはあった。