秘密に恋して~国民的スターから求愛されています~
普段の彼はもっと穏やかで優しくて、そういう乾いた冷たい声など出さない。もちろん演技ならばわからなくはないが、プライベートでこういう声色を聞いたことがない。

「うん、聞いた。来週一度会おう。うん、場所はこっちから指定する。時間は…―」

隣で聞きながらまるで業務連絡を伝えるような口調に私の方が緊張した。相手の女性が怒ったりしないか心配になったから。

電話を終えるといつも通りの優しい笑みを私に向ける。

「つ、冷たいね、結構」
「え?そう?普通だったよ」
「…そう、なんだ」

他の人にはそうなのだろうか。

「さぁ、寝る準備しよう」
「うん…」
「沙月は何も気にしなくていいから。俺の問題なのに、ごめんね」

拓海の眉尻が下がっていく。
私はかぶりを振って、笑って見せる。
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