秘密に恋して~国民的スターから求愛されています~
「ごめんね、」
「沙月が謝ることは、何もないよ」
「…気づかなくて…」

彼が言う、”ずっと好きだった”が本当ならば、彼の思いを知らずにしていた行動で彼を傷つけていたことになる。

「いいんだよ。やっと手に入ったから…それで十分」

鼓膜を揺らす甘美な声に胸が早鐘を打つ。

「そろそろ家、出ないと」
「そうだね」

私の声に従うように腕の力が緩んで、離される。
彼の私へ送る視線は、普段よりもずっと熱くて、熱を含んだ目はそれに映し出されるだけでドキドキする。

これは、演技でできることなのだろうか。

「行こう」
「うん」

彼に微笑みかけて、家を出る。

拓海の運転する車で待ち合わせ場所であるホテルに併設されているカフェに向かう。
ホテルの駐車場に車を停め、二人で同時に車から降りる。

拓海の隣を歩くと、彼が自然に手を握ってくれる。




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