秘密に恋して~国民的スターから求愛されています~
「来てくれてありがとう。大学生以来、かな?しばらく会ってないね」
「そうだね」

やはり拓海の言葉にはどこか棘があって、冷たいと感じた。
彼はそんなことはないというだろうが、どう見たって冷たい。でも沙也さんはそれで傷つくような表情は見せないからもしかしたら常にそういう態度だったのだろうか。

「で、話って?」

単刀直入に訊く拓海は真っ直ぐに彼女を見据えていた。人間離れした目鼻立ちのはっきりとした横顔に一瞬ドキッとした。見慣れていても綺麗な顔だ。

「もう一度会いたかったの」
「…ていうか、俺ら付き合ってなかったよね」
「それは、」

彼女は唇を歪め、拓海から目を逸らした。
沙也さんが自分は彼女だったと、付き合っていたと話していたが彼女の反応をみる限り拓海の言うように”体だけ”の関係だったのかもしれない。
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