秘密に恋して~国民的スターから求愛されています~
由奈と世間話をした後に、店を出た。
4月下旬だというのにすでに蒸し暑い。これから梅雨入りになるのかと思うと憂鬱になった。
と。
「もしもし、」
突然鳴り響く着信音に私は瞬間的にそれを耳に当てる。
相手は拓海だった。
今はちょうどドラマの撮影中だと記憶していた。
「沙月、今日家に行っていい?」
「…あー、それは、」
「今日休みじゃなかった?」
何気に私の”予定”までしっかり把握しているあたり確かに彼が幼馴染でかつ顔面偏差値が高くなければストーカー認定をされても仕方がないような気がする。
「そう、だね」
「じゃあいいよね」
でも、と言いかけると拓海は私の言葉にかぶせるようにしていった。
「警戒してるんでしょ」
いつもの感情の読めない単調な声が携帯から聞こえる。私は自分の心の中を読まれていることに動揺する。あんなセリフ言われて警戒しない方がおかしいじゃない。
「してないよ」
「じゃあ、今日撮影終わったら行くから」
一方的に切られた電話に私は立ち尽くした。
変わってしまう関係が怖かった。一瞬で、彼は弟から一人の男性になってしまった。今まではくっついたって何も思わなかった。
でも、多分今日は無理だ。
4月下旬だというのにすでに蒸し暑い。これから梅雨入りになるのかと思うと憂鬱になった。
と。
「もしもし、」
突然鳴り響く着信音に私は瞬間的にそれを耳に当てる。
相手は拓海だった。
今はちょうどドラマの撮影中だと記憶していた。
「沙月、今日家に行っていい?」
「…あー、それは、」
「今日休みじゃなかった?」
何気に私の”予定”までしっかり把握しているあたり確かに彼が幼馴染でかつ顔面偏差値が高くなければストーカー認定をされても仕方がないような気がする。
「そう、だね」
「じゃあいいよね」
でも、と言いかけると拓海は私の言葉にかぶせるようにしていった。
「警戒してるんでしょ」
いつもの感情の読めない単調な声が携帯から聞こえる。私は自分の心の中を読まれていることに動揺する。あんなセリフ言われて警戒しない方がおかしいじゃない。
「してないよ」
「じゃあ、今日撮影終わったら行くから」
一方的に切られた電話に私は立ち尽くした。
変わってしまう関係が怖かった。一瞬で、彼は弟から一人の男性になってしまった。今まではくっついたって何も思わなかった。
でも、多分今日は無理だ。