秘密に恋して~国民的スターから求愛されています~

降り注ぐキスにくらくらしながらも、私は必死で彼のそれを受け入れる。
初めて喧嘩のようなことをしたけど、拓海は昔から変わらず真っ直ぐにぶつかってくる。

「…ふ、…っ…ぅ、」
「もう少し、」

もう少し、そう言って何度も角度を変えてキスを繰り返す。
しばらくしてようやく唇が離れると満足そうに微笑む拓海の顔が目の前にあってその距離がくすぐったい。

「明日も仕事じゃないの?」
「そうだね、仕事だよ。でも、昼からだから大丈夫。あと、マンションの手続きも済んでるからこれからはマンション内で会えるね」

嬉しそうにそう言ってくれて私も同じ気持ちになる。
拓海は私が購入したシャツを着てくれていた。そんなに高くはないシャツなのに彼が着るといい値段に見えるのはなぜだろう。羨ましい。

「そうだ…悪い知らせがある」

急に声のトーンが下がって小さく息を溢す。
どうしたの?と聞くと渋い顔をしながら続ける。
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