恋の駆け引きはいつだって刺激的【完結】
「桜子、」
「なんで雪乃さん家に入れたんですかっ!」
「え、…雪乃?」
「そうですよ!私がいないときに…いや、いるけど…ぅ、ぅ、」

何なんだ。何なんだ。
この複雑な感情は何?どうして泣いているの?どうして雪乃さんに嫌な感情が芽生えるの?なんで?
こんな自分が嫌だ、大っ嫌いだ。

涙を拭いたいのに、彼が両手で私の頬を撫で涙をぬぐう。そんなことくらい自分でできるのに。

「ごめん、桜子に用があるっていうから」
「わ、たしに?」
「そう。俺がいない間に何度か家に来てるんじゃないかって心配で。桜子はそういうの言わないでしょ、俺に」
「…雪乃さんは本当に一度だけです」
「それならいいけど。なんの用があるのか俺が聞こうと思って家に入れたんだけど…ごめん、」
「…」

< 102 / 282 >

この作品をシェア

pagetop