恋の駆け引きはいつだって刺激的【完結】
よく考えたらここは千秋さんの家だし、借金返済してもらったのにそんなことをいうのは違う気もする。
そもそも詮索しないという約束だった。なのに今自分がしていることは、詮索以外のなにものでもない。

…わかってるよ、わかってる。でも、言わずにいられないのは…

「どうしてなの…」
「桜子?」
「雪乃さんとはどういう関係だったんですか」
「雪乃と?えっと、別に何もないよ。昔付き合ったことはあるけどそれも短期間だし」
「元カノじゃないですか…っ…ぅう…」
「まぁ、そうだけど。数か月くらいだったし…今は何もないし」
「嘘つき…っ…千秋さんの嘘つき」
「え?桜子、」

何もないのにあんな風に雪乃さんが覆いかぶさるわけないじゃない。
私がセックスできないから…千秋さんは…。
呼吸がどんどん浅くなって苦しい。胸が押しつぶされるように苦しい。

あふれ出る感情をどこへぶつけたらいいのかわからない。

私は無理やり千秋さんの手から逃れて布団に体を埋めて背を向けた。

「桜子…、ごめん、雪乃はもう二度と家に上げないから」
「…」

自分は夏希君を家に入れるなっていったくせに。なんで…。
しかもセックスしたんじゃないかという疑惑も頭の片隅どころかど真ん中にずっと張り付いて離れない。


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