恋の駆け引きはいつだって刺激的【完結】
千秋さんは、大きくため息を溢して手を伸ばすとそのまま勢いよく私を強く抱きしめた。
かなり強い力で抱きしめられて息をするのが苦しい。
「ち、千秋さん…苦しいです、」
「ごめん、本当にごめん」
「何がですか…?」
千秋さんが私の耳元でポツリ、ポツリと呟くように続けた。
「信じてもらえないかもしれないけど…本当に何もないんだ。雪乃が急にソファに座る俺に覆いかぶさってきて」
「…なるほど」
「桜子が家にいるのに、彼女を抱いたりなんかしないよ」
「じゃあ、家に私がいなかったら抱いてたんですか?」
我ながら意地悪なそのセリフに千秋さんも苦笑して「家にいたっていなくなってそんなことしない」と言ってくれた。
嬉しい。嬉しい。
先ほどからの私は不安になったり怒ったり喜んだり感情の起伏が激しい。
私ってこんなめんどくさい女だったんだ。