恋の駆け引きはいつだって刺激的【完結】
むすっとした顔で頬杖をついて私の顔を覗き込むようにして見つめる。
なんだこれ、悪いことはしていないのにそんな目で見られたら…罪悪感に近い感情が湧き上がる。

「い、や、だ」
「え?」
「そんなことで諦めないから」

夏希君はそう言って悪戯に笑った。
諦めないといわれても困る。どうしようか、どうしたら諦めてくれるのだろう。

「何?困ってんの?」
「そりゃそうだよ!困るの」
「へーそうなんだ?」
「随分楽しそうだね」
「ん、だって好きな子と会えたら楽しいじゃん」
「…」

ドキっとしなかったかと問われたらしてしまったのだけれど、それは女たらしがいうようなセリフをサラッと彼が言ったからであって。うん、これは仕方がない。
私は運ばれてきたホットココアで心を落ち着かせた。


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