恋の駆け引きはいつだって刺激的【完結】
夏希君とはその後、喫茶店で1時間くらい他愛のない会話をした。と言っても、私は終始緊張していて楽しんではいない。
ちょっと前なら夏希君のほうが安心できたのに…急に変なこと言うんじゃないかと思って構えてしまう。
そろそろ店を出ようということになって、私たちは会計をしようと立ち上がる。当たり前のように彼が財布を出そうとするから
「自分の分は自分で出すよ」
「いいよ」
「でも…」
自分の分は自分で、そう考えたのに夏希君に制されてしまって結局ご馳走になってしまった。
夏希君はココアくらいでというけど、なんだか申し訳ない。
でも、ここで気になったことがある。
そうだ、こういうお金も千秋さんのお財布から出ているわけでしょ?
自分の娯楽くらい自分で働いて稼いだ方がいいのでは?
うーん、と考えながら店内を出ると
「何考えてんの?」
ひんやり冷たい風が頬を撫でる。私は思わず首を竦めた。
「え、何も」
「まーた兄貴のこと考えてたんだろ」
「違うよ、あ、違うってわけでもないのか…」
と。
急に前方を歩く夏希君が足を止めた。
何だろうと思って顔を上げると同時に
「っ」
私は持っていた鞄を手から落としていた。
目を大きく見開き、動けない。
夏希君にキスをされていた。
触れた唇が冷たい外気と反して熱を持っていた。
ちょっと前なら夏希君のほうが安心できたのに…急に変なこと言うんじゃないかと思って構えてしまう。
そろそろ店を出ようということになって、私たちは会計をしようと立ち上がる。当たり前のように彼が財布を出そうとするから
「自分の分は自分で出すよ」
「いいよ」
「でも…」
自分の分は自分で、そう考えたのに夏希君に制されてしまって結局ご馳走になってしまった。
夏希君はココアくらいでというけど、なんだか申し訳ない。
でも、ここで気になったことがある。
そうだ、こういうお金も千秋さんのお財布から出ているわけでしょ?
自分の娯楽くらい自分で働いて稼いだ方がいいのでは?
うーん、と考えながら店内を出ると
「何考えてんの?」
ひんやり冷たい風が頬を撫でる。私は思わず首を竦めた。
「え、何も」
「まーた兄貴のこと考えてたんだろ」
「違うよ、あ、違うってわけでもないのか…」
と。
急に前方を歩く夏希君が足を止めた。
何だろうと思って顔を上げると同時に
「っ」
私は持っていた鞄を手から落としていた。
目を大きく見開き、動けない。
夏希君にキスをされていた。
触れた唇が冷たい外気と反して熱を持っていた。